まだある、昨日の話

「…僕、まだ晩ごはん食べてないから。じゃあね。
  …お待たせ。」
「お母様かい?」
「うん」
「大変だね」
「ふっ」
「ところで、これからどうします?」
「うろうろしたいな」


「で、もういい時間なので、そろそろご飯食べるところに落ち着きたいな」
「…お任せするよ」
「…えー!ここまで引きずりまわしておいてー?」
「…それもそうだな」
「知ってるお店は、あとはこの駅*1の反対側だけ」
「じゃあ、移動するか」
「…今までの店で、気に入ったところはなかったと?」
「…強いて言うなら、通りの2階にあったお店…でも待つのはイヤだ」
「と言っても、土曜の夜ですからねー」
「…どこに行っても待つ、か。よし、引き返そう」



…結局、入店は20時、いや21時を過ぎていたかもしれない。
本当に、強いて言えば、で選んだのに、そのお店は僕の好みの、というか今でも冷蔵庫に入ってるくらい愛飲のお酒を置いていて、僕はそれのブルーベリー味を頼んだ。行きつけのスーパーに置いていないことがあったからだ。
ちなみに冷蔵庫にはあんず味、そしてそれに付属していた限定グラスが入っている。
料理はかなりうまかったはずだが、酒に注意がいってるときの味覚はアテにならない。
そこで友人と、車の話とか、家族の話とかをした。料理や、共通の友人の話もしただろうか。あと、TOEICのできが悪かったことを愚痴った。
1人あたり2000円と少しを払った。たらふく食ったつもりだったが、伝票を見直すとそうでもなかった。たぶん、夕方食べたパスタのおかげだ。


駅でしばし別れを惜しんだ後、特に急いでないつもりだったので、普通電車に乗って乗継駅へ向かった。
昔、よく使った路線なのに、駅名がとても新鮮に聞こえた。
乗継駅についたものの、普段乗る電車が見当たらない。
どのホームに行くべきか慎重に迷っているあいだに、人がたくさん改札へやってきた。
早い電車が、駅に着き、そしてもう行こうとしている合図だった。
僕は特に急いでいないつもりだったので、次の普通電車に乗ろうとした。
「…寝屋川行き?」
ちょっと妙だと思って、時間を確認して、納得した。
そういえば、友人が乗った電車も、かなり遅い時間のものだった。
僕はひとり暮らしをしている。
今日こんな長い文を書くくらい、暇だ。
昨日、急いで帰る理由はないと思っていた。

アパートの最寄り駅で降りて、いつものバス停のベンチに座って、違和感を感じた。
こんな時間に、ベンチに座れるはずはないのだ。
…満員で。
そこで、僕は、時刻表を見ようとして、大きな大きなこと、細かく分けると2つのことに気づいてしまった。
その日は、日曜日だった。
つまり、日付がすでに変わっていた。
そして、バスは土曜日のダイヤで運行されていた。
違う場所にある一覧表で確認したが、バスは僕のアパートへ行くものはもちろん、他のところへ行くものも終了していた。
いろいろ考えたのち、タクシーを頼んだ。
メーターが財布の中身とほぼ同じ数字になるのと、タクシーが国道へ到着すること、ほぼ同時だった。

*1:巨大である